導入事例
月間約133時間の作業時間を短縮
~健康保険証発送センターのOCR活用~
社労士業界 No.1※の規模と実績を誇るSATO 社会保険労務士法人(以下、 SATO)は、大企業の社会保険業務代行手続きを中心に、全国各地に 6拠点を構えています。長年の実績で培われたノウハウは高い評価を得ており、国内最大手の社会保険労務士法人です。(※SATOのホームページにもとづく)
SATO では、2020年に東京オフィス内の保険証発送センター(以下、保険証発送センター)設立にあたり、健康保険証発送業務の効率化が課題となりました。当初、健康保険組合から健康保険証が発行されてから、SATOの業務処理拠点を経由して全国のクライアントの従業員の自宅に届くまでに最大約 4 日かかっていました。そこで、時間を大幅に短縮するために、株式会社クレオ(以下、クレオ)が提供するOCRクラウドサービス「CREO-OCR」を採用することにしました。
現在は5人のチームで、毎日40種類・約200枚の健康保険証を効率的にテキストデータ化し、保険証受領の翌日には従業員の自宅へ発送することができるようになりました。この事例では、スピードが求められる健康保険証発送業務を時間短縮するために採用された CREO-OCR について、東京オフィスの市岡さんと六本木さん、実務を担当する鈴木さんにお話を伺いました。
SATO社会保険労務士法人
- 商号
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SATO社会保険労務士法人 佐藤事務所
さとうしゃかいほけんろうむしほうじん さとうじむしょ - 事業内容
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労務管理(社会・労働保険手続き)全般および
労務相談業務助成金申請に関する手続き全般 - HP
- https://www.sato-group-sr.jp/
※ 2023年5月31日時点の情報です。
SATO社会保険労務士法人について
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SATO 社会保険労務士法人の特徴を教えてください。
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六本木さん: 札幌の本社に加えて、東京、名古屋、大阪、福岡、沖縄にオフィスを構え、全国で社会保険関連業務の代行サービスを提供しています。特に、各拠点で手続きを行うことで人件費を抑え、サービス料を低く抑えながら、質の高いサービス提供を重視しています。
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事務所の強みについて教えてください。
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六本木さん: SATOは、1,000名以上の従業員を抱える大規模事業所の社会保険業務代行を得意としています。
例えば、製造業、飲食・小売業など、10,000名以上の従業員を有する大規模事業所のクライアントが数多くあります。一般的な社労士事務所は、主に中小事業所向けのコンサルティングサービスを中心とした社会保険業務代行を提供しており、大規模事業所に特化した代行サービスを提供できる事務所はまだ少ないのが現状です。そのため、何万名もの従業員を抱える大規模事業所の社会保険業務において、SATO は正確かつ迅速な代行サービスを強みにしています。 -
多くの社労士事務所と対極の位置でサービスを提供されているのですね。創業時から大規模事業所を対象にされていたのでしょうか。
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六本木さん: もともとは北海道を拠点としていましたが、2003 年の社労士法改正に伴い、法人化に合わせて他の事務所と同様に東京への進出を考えました。しかし、新たに参入した東京で新規にお客様を獲得することは簡単ではありませんでした。そのような状況の中、日本の外資系の大規模事業所の中には、社会保険手続のアウトソースを検討しているところがあることが分かり、我々も大規模事業所の業務を受託できる体制と設備の構築に取り掛かりました。
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大企業ならではのご要望などもあるのでしょうか。
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六本木さん: そうですね。大企業の皆さまは、早くからセキュリティを非常に重視されていましたので、代行業務だけでなく高度なセキュリティ要件にも対応することが必須でした。そのため、SATO ではクライアントの要望に応えるためにセキュリティ設備を充実させ、セキュリティレベルを向上させました。豊富なノウハウや実績はもちろんですが、このセキュリティ対策も大企業のクライアントに安心してご契約いただける理由の 1つになっています。
SATOで実施している
セキュリティ対策例
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プライバシーマークの
取得 -
デバイスによるデータの
抜き取り・漏洩を防止
(SKY SEA) -
メール送信先の
チェック機能で誤送防止
(m-FILTER) -
オフィス内に
監視カメラを設置
保険証発送業務の価値の1つ “いかに短時間で処理をするか”
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保険証発送センターの業務概要を教えてください。
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市岡さん: 保険証発送センターでは、SATOの社会保険手続き代行によって発行されたすべての健康保険証を、被保険者である従業員の自宅に発送する業務を一括して行っています。
具体的な流れとしては、SATOで社会保険手続きを代行すると、健康保険組合から健康保険証が発行されて、保険証発送センターに届きます。健康保険証に記載された情報をSATOのデータベースに登録して、既にデータベースに保有している住所情報などと突合せて、従業員の自宅に個別に発送するといった作業を行っています。健康保険証は毎日午前中に届くので、届いたその日の午後に発送作業を始め、翌日のお昼には郵便局から発送するといったスピード感で対応しています。
また、最近は発行した健康保険証を事業主以外に送らないという健康保険組合もありますが、その場合は、健康保険組合から事業主を経由して保険証発送センターに郵送していただくなど、クライアントのご要件に合わせて柔軟に対応しています。
作業時間短縮のためにCREO-OCRを導入
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保険証発送センターを立ち上げた経緯を教えてください。
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市岡さん: 以前は、健康保険証の発送業務を我々の各業務処理拠点で個別に行っていました。しかし、クライアントが加入している健康保険組合の多くは東京に拠点を持っているため、東京から札幌オフィスや沖縄オフィスなどの遠隔地に健康保険証が送られると、各拠点への到着までに飛行機で2日かかってしまいます。さらに、従業員が東京にお住まいの場合、オフィスから従業員の自宅への配送にも2日かかってしまいます。各オフィスでの作業時間も考慮すると、健康保険証が健康保険組合から発行されて、従業員が受け取るまでに約1週間かかってしまいます。
クライアントの従業員の中には1日でも早く健康保険証を受け取りたいという方も多くいらっしゃいますので、サービスレベル向上のために、保険証発送センターを設立し、健康保険証の発送業務を集約することにしました。
これにより、健康保険組合が健康保険証を発行してからSATOを経由して従業員の自宅に届くまでの期間を2~3日短縮することができます。さらに、作業効率向上のために、保険証発送センターの設立と同時に OCR の導入も検討しました。 -
いかに短い時間で処理をするかということが価値の1つなのですね。
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市岡さん:そうですね。「保険証が届くのはまだですか」という問い合わせはすごく多いです。例えば、転職された直後に、お子さんを病院に行かせなきゃいけないだとか、歯医者に通院中だとか、早く健康保険証が欲しいという方はいらっしゃいますね。
六本木さん:いろいろな事情を抱えた人がいます。「健康保険証を一日でも早く欲しい」というご要望にお応えできるように、作業時間短縮の徹底は必須です。
CREO-OCRの選定について
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CREO-OCR を選定いただいた理由を教えてください。
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市岡さん: 初めに、3 社ほどの OCR サービスについて比較検討を行いました。その中で金額と精度を確認し、最もコストパフォーマンスが良かったのがクレオ社の「CREO-OCR」でした。
OCR の導入目的は、保険証発送センターの業務効率化ですので、比較条件は健康保険証1枚につき10項目程度あるテキストの正確な読み取りが可能であることでした。CREO-OCR はこの条件を満たし、価格とのバランスも適切でした。さらに、1カ月ほどのトライアル利用で問題なく機能したため、そのまま継続して利用しています。
導入について
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導入は何名体制でされましたか。
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市岡さん: 私ともう1名、合わせて2名です。
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導入はスムーズでしたか?課題などはありましたか?
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市岡さん: マニュアルが分かりやすかったので、マニュアルを見れば大体のことは理解できました。わからないことや、うまくいかないことは、その都度担当営業の方に質問しながら使い方を覚えていきました。
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導入から本稼働までの流れを教えてください。
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市岡さん: 2019年12月に最初の設定をしました。その後、保険証発送センターのテスト運用をかねて、2019年12月から2020 年4月にかけて、CREO-OCRのテスト稼働をしました。最初は2~3種類の健康保険証のレイアウトを登録して、徐々に登録レイアウトの数を増やしていきました。そして2020年5月から本稼働しています。
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今は何種類くらいの健康保険証の読み取りに利用されているのでしょうか。
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市岡さん: おおよそ40種類です。
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毎日何枚くらいの健康保険証の読み取りをされているのでしょうか。
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鈴木さん: 200枚くらいです。入社が多い4月は、1日に600枚読み取ることもあります。
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毎日40種、200枚もの健康保険証発送業務は何名で行っているのでしょうか。
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鈴木さん: 私とパートの時短勤務の方を含めて5名です。ほぼ毎日CREO-OCRを利用しています。
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ご利用プランを教えてください。
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市岡さん: ベーシックプランで、月額30,000円(税別)です。
CREO-OCRのご利用風景
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健康保険証を
スキャン・PDF 化 -
PDFをCREO-OCRで
読み取り -
CREO-OCRの
読み取り結果の確認 -
読み取ったデータを
CSVで出力
※撮影用にダミーの健康保険証を使用しています。
導入効果
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CREO-OCR を利用してどのようなメリットがあったのか、教えてください。
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市岡さん: 導入前は、データ入力作業を含めた保険証 1枚あたりの発送業務時間が5分程度でした。導入後はデータ入力作業時間が短縮され、1枚あたり3分程度で発送業務を完了できるようになりました。
作業時間の短縮も重要ですが、ミスや修正といった処理を減らす効果もあります。特に外国人従業員の名前の読み込みや入力データのチェック作業が大幅に楽になりました。 -
外資系企業の中には、従業員のうち 8 割から 9 割が外国人であることも珍しくありません。特に、通信や IT系の企業は外国人従業員の比率が高いです。外国人従業員の名前はカタカナ表記であり、馴染みのない名前が多いため、手作業での入力やデータのチェックは非常に困難です。しかし、CREO-OCR の導入により、これらの作業をデジタル化し、効率的に進めることができるようになりました。これは作業効率向上の大きな要素となっています。
SATO社会保険労務士法人のその他のサービス
SATO社会保険労務士法人は様々なサービスを提供しています。本事例の保険証発送センターに加えて、最近リリースされた中で特に人気の2つのサービスをご紹介します。1つ目は電子署名を使用する「36SIGN」です。そしてもう1つは顧問契約料が不要な「無料 de 顧問」です。
36SIGN
36 協定書、就業規則届出に必要な書類の「配布」「回収」「労基署への提出」等の手続きを電子で完結できるサービス。例えば、多店舗展開企業では、年に1度、店舗ごとに残業を許可する36協定の届出が法律で義務付けられている。各店舗の従業員代表の同意サインが必要なこの届出は、これまで紙の郵送で対応していたが、「36SIGN」では署名と届出の電子化を実現。同意サインにも電子署名を利用することにより、手間と郵送費用が削減できるため、2021年の提供開始以来、大企業に人気のサービス。
無料 de 顧問
顧問契約料0円で、10分間の相談につき1,000円(税別)で労務相談を承るサービス。社労士事務所での労務相談は、通常、月数万円の顧問契約が必要なことが多い。相談有無に関係なく、毎月顧問契約料が発生してしまうのは中小事業所にとって負担が大きい。タイムチャージ制の「無料 de 顧問」は、社労士契約をしていない中小事業所にご利用いただいたり、顧問弁護士がいる大企業ではセカンドオピニオンのようにご利用いただいたりしているサービス。